ガールスカウトは小学校就学1年前のお子さんから80歳代100歳代まで、さまざまな年代の少女と女性で構成されています。それぞれの年代ではぐくまれるチカラや求められる役割・能力は違えど、みんなでよりよい社会の実現のために活動しています。そのガールスカウト自身の生の声をご紹介します。
山形県 ブラウニー部門(小学1-3年)2年生
「ブラウニーに、ま・か・せ・て!!」
レンジャー(高校生)が春から食物と栄養について取り組んでいます。
そこでブラウニー(小学1-3年生)も、身の回りの食べ物について目を向けました。
ブラウニーの声
大事だと思う栄養素について「三択クイズ」を作りました。クイズにしたい栄養素がたくさんあって、どれにするか決めるのが大変でした。みんなの前でクイズを出すのは、すごく緊張したけれど、終わってからみんなに「すごいね!」と言ってもらえて、とってもうれしかったです。
私の将来の夢は“管理栄養士”です。子どもたちや、病気でつらい思いをしている人たちに、栄養を伝える人になりたいです。
リーダーの声
お父さんから買ってもらった絵本が大好きで、その絵本から管理栄養士という職業を知ったそうです。レンジャーの「食物と栄養」の取り組みの中に、少しだけブラウニーの時間を作ってもらいました。夏休みの期間中、頑張って作ったクイズは、参加したスカウト、リーダー、保護者の方全員から「凄いねぇ! よくまとめたねぇ!」と言葉をかけてもらい、「ブラウニーにまかせて」というバッジを取得するのにふさわしい活動になりました。
これからも、将来の夢を大切に、前へ進んでいってもらいたいです。
東京都 ジュニア部門(小学4-6年)
「粉から『ほうとう』を作ったよ」
ブラウニー(小学1-3年生)とジュニア(小学4-6年生)が、キャンプで郷土料理の「ほうとう」を作りにチャレンジしました。
ガールスカウトの声
「こんなふうに作るなんて初めて知った。はじめはベタベタ手についたけれど、力を入れてこねると、だんだんなめらかになって、ふしぎだった!」
「生地を棒で伸ばすのは大変だったけれど、うすくなるまで何回も何回も、協力してがんばった」
「私が“はい”と言うと、仲間が粉をはたいてくれて、息が合ってうれしかった。コツもつかめてきて、うれしかった」
リーダーの声
ガールスカウトは、仲間と協力して多くのことを学びます。今回の活動では、みんなで手伝ったり、教えてあげたりできたのがよかったです。また、初めて手打ちにチャレンジして、その過程でグルテンのことや、仲間と協同することなど学びがあったようです。とびきりおいしい「ほうとう」ができて、ちょっと自信がついたから、家でも作りたいという声も。お家の方へ食べさせたいという気持ちを大切にしてほしいと思いました。
奈良県 レンジャー(高校生部門)2年生
「Be the Change~世界を変えるための力をつけてきました!」
2015年10月、私は「世界の女性サミット(Women in the World Summit)」に、世界中のガールガイド・ガールスカウトの代表23人の一人として参加しました。世界の女性サミットとは、さまざまなフィールドで活躍している女性たちが集まり、自身の意見や経験を語るイベント。ニューヨーク・タイムズがビジネスパートナーで、2010年から開催されています。今回参加した私たち23人は「次世代のリーダーとなる少女」という意味を込めて「ジェネレーションガール」と呼ばれました。
ウガンダの活動家へインタビュー
このイベントで、私はウガンダの活動家ポリーヌ・アケロさん(War Child UK所属)にインタビューする機会をいただきました。彼女は12歳から6年間誘拐され、その間、若年出産の現場や暴力を振るわれる自分と同じ境遇の少女たちをたくさん見てきたそうです。「世界を変えるために最も必要だと思うことは何ですか」と質問すると、ポリーヌさんは「まず声をあげること。辛い目にあっている人たちは、声をあげることなんてできない。私たちはもう、戦争に巻き込まれて学校に行けない子どもたちや、暴力を振るわれる少女たちを見て黙っていることはできない。私が声をあげれば、必ず周りに協力してくれる人がいる。その人も声をあげれば、さらに輪が広がっていく。いつかどこかから支援の手が伸びて、子どもたちが助かる。このサイクルを作り出すことよ」と話してくれました。「あなたが日本に帰ったらまず一番に、学校の友達にロンドンでの経験を伝えなさい。」と言われ、私がいる環境には、声をあげれば協力してくれる人がたくさんいる…と気づかされました。
今回の派遣では、英語を上手く使えないことで自信を失い、悔しい思いもしました。しかし帰国後に「あんな人に会ったなぁ」「世界中に仲間ができたなぁ」などと考えているうちに、“今の自分なら何でもできる”という自信が生まれ、派遣前とは見違えるように自分が輝いて思えました。私はジェネレーションガールであり、世界を引っ張っていく役割があるのだ、と思いました。「世界のリーダーになれ!」と誰かに言われたわけではないけれど、自然に「あ、これ変えたい」と思えるようになりました。どうやって変えるかというと、まわりにいるガールスカウトの仲間や友達と協力して、広く意見を発信することだと思います。
派遣を終えて
私はこれから「日本人はもっと世界に興味を持つべきだ」ということを伝え、人々の意識を変えていきたいです。そして、年下のガールスカウトのロールモデルとなるように活動を続けていきます。将来は国際社会でさまざまな人と出会い、一緒に仕事がしたいです。
※詳細なレポートもお読みいただけます。
大学生 Aさん/ガールスカウトで身に付けた力
ガールスカウト活動の中で得たもの
私がガールスカウトで身に付けた力、それは今の私のすべてと言っても過言ではありません。ガールスカウトがなければ、今の私はありませんでした。
私がガールスカウト活動の中で得たものは、自分で考え、行動するための「心の強さ」だと思います。この「心の強さ」とは、社会人基礎力の、まさに「前に踏み出す力」に当たるものだと思います。このことは就職活動でもアピールしました。
人見知りで内気なタイプだった
私がガールスカウトに入ったのは小学2年の時で、それまでは人見知りで内気なタイプの子でした。それから15年、今の私は好奇心旺盛で、何事にも積極的に取り組んでいます。人前に立つことすらできなかった私が、今では大勢の子どもたちを前に話し、歌を教えることもできています。
なぜ、ガールスカウトで「心の強さ」が身に付いたのか。それはガールスカウトの雰囲気、つまり、何にでもチャレンジできる環境があるからではないかと思います。
学校教育では成績表があり、できる子が良く、できない子はダメという雰囲気があります。しかしガールスカウトでは「できる・できない」ではなく、「やってみる」ことが重視されています。
例えばガールスカウトでキャンプに行けば、仲間と生活する中で、包丁を使うのが上手な子、洗い物が上手な子など、勉強ができるかどうかという一つの尺度では測ることのできない、さまざまな能力を認められ、子どもたちは個々を発揮することができます。ガールスカウトでは、できる子もできない子も平等に扱い、互いに尊重し合える環境が整っています。「失敗や間違えることが恥ずかしいことではないのだ」ということを、自らの体験によって肌で感じることができた場がガールスカウトでした。 そのような場であるからこそ、「できないことでも、まずはやってみよう」「粘り強くがんばれば、できるようになるかもしれない」という気持ちを持つことができるようになりました。
指導者になってから
指導者(リーダー)になってからは、社会人基礎力で言う「考え抜く力」や「チームで働く力」が向上したと思います。特に相手の意見を丁寧に聞く力「傾聴力」は、子どもたちの担当リーダーになってから劇的に伸びたように思います。私が担当するシニア部門は中学生。難しい年代であるからこそ、良き理解者でありたいとの思いから、一人ひとりの子どもと向き合い、コミュニケーションを大切にすることを心がけたことが、傾聴力の向上に役立ったのだと思います。
わたしは、これからの人生に降りかかってくるどのような辛いことも、ガールスカウトで得たこうした力があれば、乗り越えることができると考えています。