わたしの声から広がる世界 -ガールズメッセ2022-
国際ガールズ・デーの記念イベントとしてガールスカウト日本連盟は「ガールズメッセ2022」を10月16日(日)に開催しました。
テーマは「わたしの声から広がる世界」。
少女と女性が社会の問題に気付き、解決するために声をあげ行動を起こした数多くの取り組みが紹介され、若者たちが問題意識をもって行動を起こしていることを実感できるイベントとなりました。
秋篠宮佳子内親王殿下の御臨席
はじめにお言葉を賜り、第1部の活動報告をご覧いただきました。終了後には受賞者とご懇談され、今後の活動への励ましのお言葉をかけていただきました。
来賓あいさつ
文部科学省 総合教育政策局 局長 藤江陽子氏
「近年、社会のデジタル化、グローバル化が急速に進展し、さらには新型コロナウイルス感染症の影響により、社会の変化が加速度を増し、複雑で予測困難な時代となっています。このような先行き不透明な時代を生きる上で、私たち一人一人、そして社会全体が答えのない問いにどう立ち向かうかが問われています。少女と女性の視点から、より幸せな社会の実現に向けて、今後更に取組を推進していただくことを期待しております。」(ご挨拶要約)
第1部
1.第4回コミュニティアクション チャレンジ100(CAC100)アワード 表彰式
身近にいる人々の集まりであるコミュニティ(社会)で起きている問題に対して、少女と女性の視点に立ち、解決につながった活動を募集し、優れた活動を表彰しています。2022年度は26件の応募の中から6グループが受賞しました。
受賞活動には、生理の貧困について地域に呼びかけたり、発展途上国の少女を支援するための寄付活動、思春期の女性の体を知り性被害予防の啓発活動をすること、ジェンダーギャップの問題を広く知ってもらうための啓発カルタ作成など、バラエティに富んだ活動報告がされました。
【受賞者の声】
- 「これから世界問題への関心を持ち、自分に出来ることを続けていきたいです。」(Pitty)
- 「取り組みを通して女性だけでなく、男性の目線が大事だと感じました。」(帝塚山大学法学部「専門基礎演習B(末吉ゼミ)」)
- 「この機会に受賞者のいろいろな活動を聞いて励みになりました。自分たちの活動を活性化させていきたいと思いました。」(アマテラス・ひなたgirls)
■講評 審査員長
橋本ヒロ子氏(学校法人十文字学園女子大学名誉教授・国連ウイメン日本協会会長)
「今回の活動報告はSDGsに関連した貧困の問題、ジェンダー平等、教育、経済活動に関連した内容でした。ジェンダー平等は、貧困、経済、法律、制度、それ以外の領域も含めてすべてのことに関わっていて、ジェンダー平等を進めることでSDGsの問題を根本的に解決することができると言われています。コロナ禍により特に女性が影響を受け、貧困や女性に対する暴力が非常に増えてきています。そういう状況の中で、ガールスカウトの皆さまがやってくださっているこの活動が極めて重要だと思いますので、みんなで支援しながら、日本社会の中での理解者が増えて、日本のジェンダーギャップ指数が上位にあがっていけるように頑張っていければよいと思います。」(講評要約)
2.B-Pアワード表彰式・活動報告
B-Pアワードは、高校生年代のガールスカウトを対象としています。
自分が得た知識や技術を生かした活動が地域に根付いた「他人への役立ち」の実践としてきわめて優れ、世界市民として将来の展望が認められる取り組みを称える賞です。今年度は2件が受賞しました。
●「世界の海をCleanに」
貨物船の座礁事故で流れ出た重油を髪の毛で吸収できることを知り、髪の毛を送るヘアドネーションプロジェクトを立ち上げた。地域の美容院23点から理解と協力を得て髪の毛を集めている。
「将来は小学校の教員として、今回たくさんの大人が私に力を貸してくれたのと同じように、今後は私が、子どもたちが行動を起こすときにサポートできるような女性になりたいです。そのために、自分や地域の問題だけではなく、視野を広げ、日本、世界の問題にも興味を持って行動していきたいと考えています。」
●「世界・ジェンダー・夢」
ジェンダー平等の実現に向け、ガールスカウトで学んだ知識やスキルを学校や地域の人に伝え、パープルリボンキャンペーン認知度向上などに取り組んだ。
「私には語り切れない程たくさんの夢があります。ガールスカウトはたくさんのチャンスがあり、自分自身の可能性を最大限に発揮させてくれています。世界のガールスカウトとアクションを起こすこと。ガールスカウトの輪を広げていくこと。このような夢や目標に向かって、日々、成長していきます。」
3.ジェンダーに関する18〜25歳調査報告
18歳〜25歳の女性が社会で置かれている立場や意識を明らかにすることを目的に調査をおこない、結果を発表しました。
今回は主に下記の4点について報告しました。
- 「女の子」のイメージはどこから?
- ライフイベント(出産後の仕事・育休)
- 生理って恥ずかしいモノなのか
- 避妊アイテムって誰が準備する?
調査の結果、「女性」とひとくくりにされ制限を受け可能性を妨げられていること、また性に対する教育についても、課題があることが分かりました。調査報告書は後日公開予定です。
第2部
トークセッション「ジェンダーの不平等を解決できる法律をみんなで考えてみよう」
ジェンダー平等達成に向けて、法律の面から少女と大人が一緒に考えるトークセッションを開催しました。
講演 聴いてみよう
講師 津久井 進弁護士
法律は困っている人のために作るものであり、国民が憲法で保障されている「幸福を追求する」ための道具であるということを、阪神淡路大震災や東日本大震災での事例を引き合いに出してお話しいただきました。
ワークショップ
そのあと、会場とZoom参加者がそれぞれグループを作り、ジェンダー平等を実現するために必要だと思う法律について話し合いました。ゲストにおいでいただいた、国会議員の石井みつこ議員も参加者たちと一緒に話し合いました。参加者はそれぞれ自分の考えを持ち寄り、はじめて会ったにもかかわらず、とても活発な意見が交わされました。
みんなが考えた法律は・・・!?
●会場チーム
*Peaceful「国民主張機会保障法!」
国民がさまざまな主張をする機会を保障する法律
*ハッピー探検隊「常に!新しく!アップデート法」
私たちだけでなく、親・家族(言葉を覚える前くらいの年齢の子どもへ影響を与える人)の考えもアップデートできる法律
●Zoomチーム
*チームよつば「制服自由に選べる法」
スカートやズボン、ネクタイ・リボンを自由選択出来る
<参加者の感想>
- 自分では気づかなかったことや同じ考えを持っている人がいてうれしい気持ちもあり、もっと真剣に考えたほうが良いと感じた。
- 思ったよりも女性というだけで困っている人がいることに驚いた。
- 法律は縛るためのものではなく、社会を円滑に回すための道具なのだと学んだ。同じ人間ではない、他人の集まりである社会だからこそ分かり合えないことが多くあるため、法律というルールが大切になるのだと思う。
社会の問題を真剣に自分ごととして考え、行動を起こしている若者たちの表情は生き生きとして、まぶしく輝いていました。
どんなに小さく思えることでも続けることが大切です。その積み重ねがよりよい社会をつくります。小さくても一緒に声をあげましょう。社会への違和感、身近な思い込みを変えることが社会を変えることにつながります。
みんなでチェンジエージェントになりましょう!
ガールスカウトの取り組み
このイベントは国際女性会議WAW!(WAW!2022) WAW!ウィークス公式サイドイベントです。