アイデアを形にする|クリエイティブチャレンジプログラム
9月8日(金)〜10日(日)の2泊3日、ユース年代を対象として「クリエイティブチャレンジプログラム ファシリテーター養成研修」を開催しました。
今回の研修には、全国から28人のユース年代が集まり、クリエイティブチャレンジプログラムを自ら体験し、中学生・高校生年代のガールスカウトたちに実践してもらうために必要なファシリテートに関するノウハウを学びました。
クリエイティブチャレンジプログラムとは
ガールスカウト日本連盟は、「バーバリーインスパイア」の一環として、クリエイティブチャレンジプログラムを実施します。バーバリーインスパイアは、バーバリーグループ、バーバリー財団、International Youth Foundation(IYF)のパートナーシップにより開発されたプログラムであり、50万人以上の若者が創造性を解き放ち、それぞれの生き方やコミュニティに前向きな変化をもたらす機会を提供することを目的としています。
プログラム自体は世界各地のパートナー団体がそれぞれ独自に実施します。当団体では同じく若い女性の創造力とリーダーシップを育むNPO法人ハナラボの協力を得て、デザイン思考を基盤としたオリジナルプログラムに取り組みます。また、ガールスカウトが今までおこなってきたプロジェクトマネジメントやアドボカシーについての理解促進と柔軟な発想と合わせ、少女や若い女性が行動を起こしやすくするために役立てます。
創造的なアイデアを育てるプログラム
クリエイティブチャレンジは、身近にある問いを見つけ、頭だけでなく手を動かしながら、創造的に課題解決に取り組むプログラムです。森の中を探索する冒険に見立てられた5つのステップが用意されています。二泊三日の日程で、1日目は、参参加者自身がその冒険を辿り、2日目と3日目はファシリテーターと参加者のチームに分かれ交互に体験する形で実施しました。
1:森の入口:問題を理解する。インタビューについて学ぶ。
今回は3つのテーマを主催側から提示し、それらについて、参加者がどのテーマを探究するのかを決めました。その後、次のステップのためのインタビューのコツを学びました。初めてインタビューをおこなったユースもいましたが、コツを意識して練習できたようです。
2:森の奥深く…相手に寄り添い、耳を傾ける。モヤモヤを見えるようにする。
ペアになり自己紹介からスタート。テーマについて、インタビューで相手の持つ「モヤモヤ」が見えるようにしていきます。インタビューで気になったことや大切な視点だと感じたことをもとに「モヤモヤマップ」を作成しました。
3:とっておきの場所…「モヤモヤ」の裏側を探る。自分だけの問いを見つける。
「モヤモヤ」の裏側にある本心を想像して探ります。「モヤモヤ」をグループで共有し、さまざまな角度から、本人も気付いていない気持ちを掘り起こしていきます。講師から、「ありきたりの問いからは、ありきたりのアイデアしか出てこない」という言葉があり、問いの重要性を知ることができました。
4:見たことのないツリーハウス…問いに対するアイデアを広げる。たくさん出たアイデアを選ぶ。形にする。ものがたりを描く。
身近なものを描いたカードを作り、カードをヒントに、思いつくままに「モヤモヤへの問いの答え」となるアイデアを複数、描きます。その後、そのアイデアを互いに共有し、感想や新たなアイデアを贈りあう時間を持ちました。その後、アイデアを選ぶ基準をみんなで話し合い、その基準で、形にするアイデアを選びました。
実際に、色画用紙やねんどなどあらゆるもので、アイデアを形にします。
5:いろいろなものがたり…形にしたアイデアを伝える。フィードバックを贈る。ふりかえる。旅を続ける。
形にしたアイデアを発表し、互いにフィードバックを送りあったのち、ふりかえりを実施してプログラムは終了します。生まれたアイデアを仲間とブラッシュアップして実装を目指したり、プログラムで学んだことを活かして異なるテーマでアイデアを考えたり、冒険はこの先も続きます。
参加者役とファシリテーター役に分かれて実践
2日目は、1日目のふりかえりをおこなったのち、参加者役とファシリテーター役に分かれて、1日目におこなったワークを実践しました。3日目は、2日目のふりかえりをおこない、2日目と役を入れ替えて実践しました。3日間、実践とふりかえりを繰り返すことで、プログラムに対する理解が深まりました。
今回学んだユースたちは今後、シニア(中学生)・レンジャー(高校生年代)へこのプログラムをファシリテートしていくこととなります。自信を持って伝えられるようになるために、ふりかえりでは、実践を見越した具体的な質問が活発に飛び交いました。
参加者の声
- 初日は無理と思ったが、コミュニケーションをとっていくことで理解も深まり、できるのではと思えるようになった。コミュニケーションやバランスが大事と思った。
- 声かけのしかたが本当にむずかしいと感じた。日頃からともだちと話すときにも傾聴の姿勢を心がけたい。
- 大きな社会課題ではなくでも日々の中である課題について問いをかけてモヤモヤを解決するようなことをしたいと思った。
- 3日間でいかに自分がフレームワーク化されているかに気づいた。本当に新しいクリエイティビティを築きたい。
- 漠然としたモヤモヤも細分化することで解決することもあることに気づいた。
- 3日間で瞬時にアイデアを出せるようなった。
- 普段の生活から意識していきたいと思った(疑問を持つ、聞いたことは実行してみる)。
- 自分の思いを形にすることがなかったので楽しかった。
講師からは3日間のユースたちの成長を大きく評価していただきました。2024年2月には、今回、ファシリテーターとなったユースたちが、高校生年代の少女たちに実施する予定です。これからのユースたちの活躍が楽しみです。
ガールスカウトがSTEAM教育に取り組む理由
ガールスカウト日本連盟は「すべての少女と女性の可能性を最大限に伸ばすこと」を使命に掲げています。学ぶ機会が少ないSTEAM分野の体験学習を増やすことで、新しい世界に興味を持ち、進路選択の幅が広がるようにすることも重要な目的の一つと考えています。ガールスカウトでは、少女たちがやりたいことに挑戦し自己実現できるようになるため、そして進路選択の幅を広げるため、機会の提供を強化していきます。
ガールスカウト日本連盟では、近年、プロジェクトマネジメントやアドボカシーについての理解促進と実際に行動できるようになるための教育を進めてきました。
このクリエイティブチャレンジプログラムは、「デザイン思考」を取り入れ、少女と若い女性の創造性を解き放ち、自分とコミュニティのためにより一層行動できる力が身につけられるようになることを目指して実施します。