Chip Camp in広島 開催報告 part02

わたしたちの活動#STEAM,#体験活動,SDG5,ジェンダー平等の実現,ロールモデル,少女たちの声

「ガールスカウトが学ぶ くらしの中の半導体」

2024年4月、ガールスカウト日本連盟はマイクロン財団の支援、広島大学の協力を受けて、女子のためのSTEAM教育*事業「Chip Camp in 広島」を開催しました。

3度目の開催となる今回は、15都府県から46人の中学生が参加しました。本ブログでは、3日間の豊富なプログラムの中から女性が特に活躍した活動にハイライトし、3回に分けて報告します。

|実施日|2024年4月2日~4月4日
|場 所|江田島青少年交流の家、マイクロンメモリ ジャパン 広島工場
|講 師|
広島大学 大学院 人間社会科学研究科 川田和男 教授、鈴木裕之 准教授
マイクロンメモリ ジャパン 金子幸治 氏、神先幸子 氏
エンジニア 新川明迪 氏、景山理菜 氏
|ゲスト|
広島県 玉井優子 副知事 
マイクロンメモリ ジャパン ジョシュア・リー バイスプレジデント

*STEAM教育:Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsを統合的に学習する、理数教育に創造性教育を加えた教育概念

女性開発者による半導体レクチャー

暮らしの中の半導体についてレクチャーしてくださったのは、マイクロンの製品開発者 神先幸子(かみさき さちこ)氏。東京・橋本にある技術センターに勤務されています。精鋭チームで、主力製品であるメモリ DRAMの設計をされています。


半導体という言葉は、以前はその特異な性質を指す物質名称として使われていましたが、現在は、半導体を基盤とするICチップ「考える半導体」を指す事が主流となっているそうです。

ICチップが入っている身の回りの製品は何があるでしょう?
スマートフォンはもちろん、炊飯器、エアコンと、わたしたちの暮らしの中で時間や温度を調節する家電には欠かせない存在です。さまざまな製品をコントロールする重要な働きとして、半導体は大活躍しています。

半導体にはおもしろい性質があります。
光を電気に変える、電気を増幅する、温度で性質が変わるーこの3つの特徴が、情報処理、記憶、電力を制御し、まるで人の脳や手足のようにさまざまな機器を操作しています。

例えば、光をデジタル信号に変える性質はイメージセンサーとして、今やどのカメラにも欠かせない機能となっていますし、温度変化を生かして、エアコンや炊飯器のセンサーに使われ、快適な生活に貢献しています。


スマートフォンにフォーカスして、半導体の働きを教えていただきました。

スマートフォンの内部は、カメラ、アンテナ、ディスプレイ、マイク、スピーカー、バッテリー、ストレージに分かれます。そしてアンテナやタッチパネルが受信した信号をもとに、ICチップ(半導体)指令を各機能に割り振ります。またそれぞれの機能に必要な電力も割り与え、各機能が手足のように作動します。これだけのことが小さなスマホの中で瞬時に動いています。

続いて、半導体と2進数をひも付け、仕組みをレクチャーくださったのは、マイクロンメモリ ジャパン 金子幸治 ディレクター。

「メモリとは何でしょう? 勉強に例えると、机が大きいほうが勉強がはかどりますね。勉強するスペース、それがメモリです。例えば新聞の朝刊は1部40ページ、18万字が掲載されています。この文字をメモリが記録するには、どのくらいのスペースが必要かというと、1文字8バイト、なので144万バイトの読み込みが必要ですね。1.44メガバイトということになります。一方、iPhoneの主力モデルのメモリは256ギガバイトです。何日分の新聞を記録できるでしょうか? わかる人? はい! 正解した人来てください!」 

皆一生懸命計算し、人と半導体のスケールを行き来するレクチャーは続きます。
「例えば、ここで計算したことを皆さんがやると3年かかりますが、ICチップは30秒でできます。分子レベルの処理、30秒で計算完了しないと、社会のニーズに追いつかないわけですね。半導体も動かせば動かすほど電力を消費します。いかに省エネしながら性能をアップするかが半導体メモリ開発者のこれからのミッションなのです。」

参加したガールスカウトは早速、世界中でその開発動向が注目される半導体のすごさを知ることができました。生活シーンを舞台にしたレクチャーによって先端技術が臨場感を持ち、興味につなげることができました。


ChipCamp参加者の声

「半導体について普段知ることのないようなことをたくさん知ることができた。」

「半導体についてわかりやすく説明してもらえた。楽しく学ぶことができた。」

» ガールスカウトのSTEAM教育への取り組み