Chip Camp in 東京 開催報告〈part01〉
2024年12月、ガールスカウト日本連盟はマイクロン財団の支援、広島大学の協力を受けて、女子のためのSTEAM教育*事業「Chip Camp in 東京」を開催しました。
*STEAM教育:Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsを統合的に学習する、理数教育に創造性教育を加えた教育概念
|実施日|2024年12月26日~12月28日 |場 所|国立オリンピック記念青少年総合センター、東京科学大学 大岡山キャンパス |講 師| 広島大学 大学院 人間社会科学研究科 川田和男教授、鈴木裕之准教授 東京科学大学 岩附信行工学教授 マイクロンメモリ ジャパン 金子幸治氏、川端晃希氏、景山理菜氏、田中大氏、ナユンジュ氏 |
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4度目の開催となる今回は、15都府県から42人の中学生が参加しました。
本ブログでは、3日間の豊富なプログラムの中から参加者から反響の大きかった活動にハイライトし、3回に分けて報告します。
コンピュータの世界
「0と1 コンピュータの世界」では、子どものころから慣れ親しんできた10進数とは異なる❝2進数❞について学びます。コンピュータでは、すべての情報が2進数で表されています。
「10進数は手の指が10本だから始まったかぞえ方。便利だよね。
でも2進数だと更に、片手だけで31まで数えられるんです。0と1だけで。これも便利だよね。」と、川田先生のレクチャーで2進法について学びます。
中学生で触れる機会のない学びも、段階を踏んで理解していきます。
「使う数字は0と1の2種類だから、応用がきくんです。皆さん、このマーク知ってるかな?―そう、電源ボタンによくみられるこのマーク。これ、分解すると何になる?―そう、このマークは0と1からできているんです。0と1はスイッチのオンとオフ、電化製品やコンピュータと相性がいいんです。」と、
身のまわりのものを例に、2進法がわたしたちの生活とのつながりがあることに気付いていきます。
その後、0と1に意味を持たせた論理演算子を使って人間計算機になり、チーム一丸となって計算の速さを競います。
参加者は0と1のカードを持って回路に立ち、見せられた数字と回路の演算子に基づいて計算し、自分の計算結果を後ろの人に示します。そのあとも計算を続け、最後に計算機全体の答えを出します。
はじめは、間違ったり、遅かったり、途中で考え込んだしましたが、
何度もやるうちに計算スピードが速くなり、全チーム回答することができました。
アイディアソン『未来の学校』
広島大学 鈴木准教授によるセッションでは、学校生活から困っていることを発見し、よりよい生活を考えました。課題を解決するアイデアや、普段から思い描いていた自分の願いを叶えるアイデアを出し合います。
10グループがそれぞれに話し合い、テクノロジーを駆使したアイデアを発表しました。
*日ごろ、傘を忘れたり人の傘と間違えて持ち帰って困った経験から、持ち主が近づいたら傘が自分の好きな色や音で知らせるアイデア
*学校内でいろんな人と出会うきっかけをつくるために、自分と相性のよい人が近くにいるとスマホがお知らせをくれるアイデア
発表されたアイデアは、「今すぐ実現できそうなアイデアであり、まさに企業が研究途中の内容や、これから取り組みたい内容であった」と、広島大学 鈴木裕之准教授はお話しくださいました。
使う人の先の先、メリットとデメリットの両面から考えて提案しているなど、ガールスカウトがさまざまな視点で考える姿を講評していただきました。
ラズベリーパイを使って、ぶつからない車を作ってみよう!
2日目のセッションでは、0と1の世界をさらに深め、プログラミングで動きを制御する❝ぶつからない車❞を作りました。
まず車両の組み立てからスタート。
スクリーンで手元の工程を投影し、川田教授が丁寧に解説します。
静電気に注意したり、タイヤの向きに注意したり、手順を間違えると動かなくなるので、ひとつ一つ真剣に作業を進めていきます。
障害物を判断する目の働きをつけるため、車にはセンサーを搭載します。
次に、車の動きをコントロールするプログラミングをおこないます。人で例えると脳の役割です。
苦労しながら完成した車型ロボット。
ガールスカウトは嬉しそうにあちこちで走らせていました。センサーが作動し、かざした手に反応して車が止まった瞬間は、完成の喜びを分かち合っている姿がありました。
ロールモデルとの出会い
広島大学 川田和男教授、鈴木裕之准教授がChip Campのために開発した実習では、技術科目の教職課程にいる学生12人が、42人のガールスカウトの指導にあたりました。探求心を促すような声掛けで、高校大学レベルの情報科目の学習へと導いてくださいました。
またセッションの終わりには、グループごとにフリートークタイムを設け、大学生活や研究、進路について、中学生が将来を思い浮かべるさまざまな事柄について話してくれました。
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