「少女と女性が生きやすい社会の実現にむけて」~社会に変化をもたらすためにチャレンジする少女たちvol.1
「コミュニティに変化をもたらすプロジェクト」としてガールスカウト日本連盟が2016年から始めた『コミュニティアクションチャレンジ(CAC)100』。2019年からの“少女と女性の視点に立ち社会を変える” 活動への取り組みに賞が与えられ、第1回表彰式が2019年10月14日に開催されました。
CAC100アワードは、ガールスカウトにとっては「社会をよりよくするために自ら考え行動する」という、日ごろから培っている力をさまざまな取り組みを通して発揮する場所の一つですが、一般の方も応募できます。
全国から応募された66件の中から、少女と女性の視点に立ち、SDGs(持続可能な開発目標)と、よりよいコミュニティに繋がる取り組みとして「そなえの極み乙女」(京都府)と「チームオラブ」(大分県)がコミュニティアクション賞を受賞しました。この2つのチームが活動を始めたきっかけや、活動を進める中で気づいたことなど、彼女たちの視点を2回に分けてご紹介します。
第1回コミュニティアクションチャレンジ(CAC)100アワード受賞者活動報告~その1
『そなえよ乙女』そなえの極み乙女
Q: 今回の活動について――どのような活動をしましたか? また、取り組もうと思った理由や課題を見つけたきっかけは?
2018年は災害が多く、自分たちも停電などを経験し、防災について改めて身近に感じました。京都市男女共同参画推進協会が配布する女性の視点で防災に備えるための『KYOTOわたしの防災ノート』を知り、女子中高生の自分たちの視点から考え、同年代や年齢の幅を広げて共感してもらえる防災ノートを作ろうと思い、作成、配布をしました。
Q: どのような目標を持って取り組みましたか? また、活動しながら工夫した点やどんな気づきなどがありましたか?
最初は自分の視点から災害時の行動や、困難さを考えました。自分の視点に立つと、避難場所で自分は何を不安に思い、何に癒され、どうすれば気持ちを楽に避難生活を過ごせるかなどについて考えるようになりましたが、自分とは違う家庭環境があることも考えるようになり、他の人の視点でも考えることで、いろいろな人に対応していけるようにすることが大切だと気づきました。
防災ノートは常に持ち歩けるサイズに作りましたが、自分で書き込めるベージや、お気に入りの写真を貼ったり、いざ災害が起きたときに実際にノートが手元になくても、中身を記憶しておけたりするように作りました。防災についての知識を学校の防災訓練などで教わるだけではなく、その場にあるもので創意工夫をして災害時に対応する方法を自分たちもたくさん学びました。
Q: 課題だと思ったこと、困難だと思ったことはどんなことですか? また、それをどう解決しましたか?
自分とは違う人の視点に立って考えることが難しく、小さい子やお年寄りなど、支援を必要とする人の立場に立って考えることです。そういう人たちが安心して避難できるようなことを考えるのは難しかったですが、兄弟のいる仲間の意見を聞くことなどで解決することができました。
また、家庭での具体的な行動に繋げることができるように内容をまとめることに苦労しました。ガールスカウトの活動で学んだことを応用して、ポリ袋でご飯を炊く方法を載せることで解決できました。
『KYOTOわたしの防災ノート』との違いを考えたときに、女子中高生は心も体も女性に近づいてきているので、その視点を取り入れることにも苦労しました。
Q: プロジェクトの中でSDGsを意識したところは?
防災ノートの「Stop the 暴力」のページで、特に女性の視点に立ち災害時の暴力について記載したことは、SDGsの目標5「ジェンダーの平等を実現しよう」にあたります。避難所生活で女性や少女が性的被害にあってしまうということを、この活動を通して初めて知りました。避難所のリーダーは男性が多く、女性が被害にあっても言い出せなかったり、被害をなかったことにしたりする人も多いと知り、男性がリーダーであることで男女の不平等が起きてしまうのではないかと思いました。このような危険性のある現状を知り、自分を守ってもらうためにもこのページを作りました。
ガールスカウトが全世界で取り組んでいるVoice against Violence(VAV)プログラムについて学んだことのあるメンバーがいたことで、暴力から自分を守ることの重要さを知り、自分たちの言葉で訴えることができました。
Q: 嬉しかったこと、やってよかったこと、活動全体を通してどんな成果がありましたか?
京都府内の小学校に配布したり、防災訓練やイベントで避難所体験のコーナーを担当するなど、一般の人の目にも触れ、防災についての意識を広めることができました。
Q: 今後の展望について
今後も防災キャンプなどで、実際に自分たちも体験を通してもっと多くの人に防災ノートを広げていけるとよいと思っています。市内の高校の避難体験などでは、自分たちとは違う視点で新しい気づきが得られると思うので、学びをいろいろと深めていけたらよいと思います。
SDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」の達成のためにも、私たちとは別の視点を持って活動している人や団体から話を聞いて学び、さらにこの防災ノートを発展させ住みやすい街づくりをおこなっていきたいと思います。
次回は「第1回コミュニティアクションチャレンジ(CAC)100アワード受賞者活動報告~その2『歩く国際協力・オラブプロジェクト』チームオラブ」をご紹介します。