ガールガイドとガールスカウト 二つの名前
はじめまして。
ガールスカウト日本連盟です。
「ガールスカウトって何をしているの?」
皆さんにまだまだ知られていないことがたくさんあります。
公式ウェブサイトやSNSでは伝えきれない「ガールスカウトのこと」。
大切に、丁寧にお伝えする場になればと願っています。
これからどうぞよろしくお願いいたします。
さて皆さん。「ガールスカウト」の「スカウト」ってどういう意味だと思いますか? 芸能事務所に「スカウトする」のスカウトとはちょっと違います。
もともとガールスカウトの名前は、ボーイスカウトから来ています。
ボーイスカウトの創始者ロバート ベーデン-ポウエル卿は、イギリスの優秀な軍人でした。
彼は斥候(スカウト/scout)訓練のために書いた技術書『斥候の手引き』を青少年育成のために書き直し、『スカウティング・フォア・ボーイズ』を出版。それをもとにボーイスカウト運動を始めました。
斥候とは偵察部隊のことです。偵察には、観察眼やどのような状況でも生還するための技術など、さまざまなスキルが必要とされます。それらの技術を養う訓練は少年たちの冒険心を高め熱中させるものでした。自然の中でのキャンプを通して、全人的な教育を目指したのです。
スカウトはどんな小さなことでも見のがしてはならない。のみならず自分の目、鼻、手を使うことを忘れてはならない。それにもまして、大切なのは、頭を使うことである。頭を使って自分が見たこと、聞いたことの意味を知ることができるからである。(『B-Pのことば』より)
さて、ボーイスカウト運動が始まったそのころ、1909年にロンドンでおこなわれた大会に女の子たちが参加していました。彼女たちは自らを「ガールスカウト」であると名乗りました。ベーデン-ポウエル卿は、少女には少女のニーズに合ったプログラムを備えた独自の運動と名称が必要だと考え、その運動をガールガイドと名づけました。女性は将来家庭の主婦となり母となるひとであり、“人を導き、世を導かなければならない”との考えからです。
今でも世界のほとんどの地域では「ガールガイド」という名称が使われています。
私は、ガールガイドに、小さな出来事も見のがさず、しかも、出来事の意味を読み取ることに探偵のような鋭さを持ってほしいと思う。それは、動物や鳥を観察するという目的のためだけでなく、人間そのものを知るためにも必要である。(『B-Pのことば』より)
しかしアメリカでは、この運動を広めたジュリエット・ローにより「ガールスカウト」という名称になりました。アメリカでは「ガイド」という言葉が“インディアンを狩る人”という意味をすでに持っていたためです。
一方、日本では大正時代にガールスカウト運動が始まりました。
東京の香蘭女学校に教師として赴任したイギリスの宣教師ミュリエル・グリーンストリートによってもたらされたため、「ガールガイド」を日本語に翻訳した「日本女子補導団」という名称になりました。
第二次世界大戦で中断したのち、戦後GHQの支援のもと運動が復活したので、現在ではアメリカ式の「ガールスカウト」という名称となったのです。日本はガールガイドとガールスカウトと両方の名称を名乗る歴史を持つ、珍しい連盟なのです。