ユースだからできること。社会課題について学び行動する

わたしはガールスカウト

ガールスカウトは「少女の活動」だというイメージを持つ人もいらっしゃるかもしれません。
実は、さまざまな年代の人が活動しています。
今回はユース年代の大学生である尾﨑柚子さんの活動を紹介します。

尾﨑さんは2018年度に日本とミャンマーの協働プロジェクトReach Out Project(リーチアウトプロジェクト)※¹に参加し、ミャンマーにも行きました。2019年度はその経験を生かし、同年代の大学生に対するファシリテーターとして活動しています。
尾﨑さんにお話をうかがいました。

ミャンマーのガールガイドと研修を受ける尾﨑さん(右端)

リーチアウトプロジェクトとは※¹
ガールスカウト日本連盟は、2011 年から Stop the Violence(STV)キャンペーンに取り組んでいます。この取り組みから、少女が自らの権利に気づき、自分の身体に関する選択を自らできるようにすることは非常に重要なことであり、そのために十分に知識を得ることの大切さをもっと伝えたいと痛感しています。そこで、ユース年代を中心に「性と生殖の健康と権利(リプロダクティブヘルス/ライツ)」※³に関する知識を学ぶ場を提供し、さらに、そのことを同年代・若い年代に伝える人材として育成する事業を実施しています。この事業はミャンマー連盟とも協力して、夏に日本、冬にミャンマーで展開しています。

<両国共通のゴール>
ミャンマーと日本の少女が、
1.リプロダクティブ・ヘルス/ライツを学ぶ   2.学んだことを伝える行動を起こす

リーチアウトプロジェクトに参加しようと思った理由

私は少女時代にピースパックプロジェクト※²に取り組んだことから、ミャンマーに行ってみたいとずっと思っていました。また、大学生のうちに自分の視野を広げるために、ユースイベントにたくさん参加しようと決めていました。そのプログラムがガールスカウトにはあると考えたからです。
Reproductive Health and Rights(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ「性と生殖に関する健康と権利」)※³という概念については、プロジェクトの募集要項を見て初めて知りました。調べてみると、私たちユース世代が率先して学ばなくてはならない課題だと感じ、参加しました。

ジェンダー平等についてワークショップで学びます

ジェンダーバイアスについての学び

2018年夏、ミャンマーのガールガイドと一緒に国内合宿に参加しました。
Voices Against Violenceプログラム※4で人権について学んだり、国際協力NGOジョイセフによるリプロダクティブ・ヘルス/ライツのトレーニングを受けたりすることで、たくさんの気づきがありました。自分にも無意識のうちにジェンダーバイアスがあることに気づきました。あらためて自分と向き合い、「すべての人が自分らしく暮らすことができる社会を若い世代が作っていかなければ」と感じました。

日本で研修を受ける両国のガールスカウト・ガールガイドたち

同年の冬には私たちがミャンマーに行き、現地のガールガイドとともにワークショップを提供しました。現地でのプログラム内容を具体的に決めることが難しかったです。合流後の少ない時間の中で、ミャンマーのガイドたちと協働してプログラムを作り上げた経験は貴重でしたし、準備の大切さを再確認しました。毎日、実践・反省の繰り返しで、普段の生活でも「ふりかえり」を大事にするようになりました。

ミャンマーでのワークショップをする尾﨑さん(左から2人目)
ワークショップをするミャンマーのガールガイド

2年目は同年代の大学生を支援

2019年度の夏には2回目のReach Out Project 2019が日本でおこなわれました。私はファシリテーターとして、同年代の日本の大学生への支援をしました。
1日目の私の役割は、ミャンマー派遣の報告と、今年度のリーチアウトプロジェクトの内容の大枠を決めることでした。リプロダクティブ・ヘルス/ライツの範囲は大きく、私も頭の中を整理することが大変だったので、大枠を決める方法に悩みました。参加者には課題図書やジョイセフのトレーニングで気になったワードや、頻繁に出てくるワードを元に、関連ワードをどんどんアウトプットしてもらいました。
2日目からは少人数グループについて、ファシリテーターとしての活動です。センシティブな内容もあるので、みんなの意見を掘り起こすことよりも、つねに議論が途絶えることのないような声かけを心掛けました。パトロールをみていると、話し合いの場で考えて議論が止まってしまったときよりも、個人が思ったことを素直に言葉に出しているときの方がプロジェクトの方向性が見えてきているように感じました。

ユース年代だからできる活動がおもしろい!

さまざまなプロジェクトに参加してみると、全国各地の同年代のリーダーから学ぶことがたくさんあります。ユース年代は学生から社会人まで、さまざまな立場や場所で活動する同世代のガールスカウト会員と出会うことができ、歳の近い、自分のローモデルを見つけることができました。ユース年代は将来について考える機会がたくさんあると思います! 

国は違っても同じ課題に取り組む仲間です

※² ピースパックプロジェクト
ピースパックとはガールスカウトたちが鉛筆や消しゴム、ノートなどの文房具や日用品を、メッセージを添えて袋に詰めたもの。難民について学び、難民の子どもたちに届けるという、子どもから子どもへ心(気持ち)を伝える平和提唱プロジェクトです。1993年、ガールガイド・ガールスカウト世界連盟と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の協働事業として始まり、日本連盟では、1995年~2004年パキスタンのアフガン難民の子どもたちに、2005年~2008年タイのミャンマー難民キャンプの子どもたちに届けられました。

※³「性と生殖の健康と権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)」
リプロダクティブ・ヘルスとは、性や子どもを産むことに関わるすべてにおいて、身体的にも精神的にも社会的にも本人の意思が尊重され、自分らしく生きられること。そしてリプロダクティブ・ライツとは、自分の身体に関することを自分自身で決められる権利のことです。(国際協力NGOジョイセフ ウェブサイトより引用)

※4 VOICES AGAINST VIOLENCE(VAV)みんなでつくる 差別と暴力のない世界
世界中のガールスカウトが取り組んでいるプログラム。少女と若い女性に対する暴力が人権侵害であるという認識を深め、すべての人の人権を尊重する姿勢と、男女間の平等を推進する考え方を身につけることを目的としています。